ブランディング 真っ白の よりそい
インナーブランディングと採用。人が集まる会社は、内側から育っている

求人を出しても、応募が集まらない。 やっと採用できても、その人がいつのまにか辞めていく。
経営者の方から、こうした声をよく伺います。給料や休日といった条件をいくら整えても、なぜか埋まらない。その手前に、見落とされがちな問いがあります。
「私たちは、どんな会社なのか」。
これが社内で共有されていないと、採用はどこか上滑りしていきます。今回は、その土台になる「インナーブランディング」の話をします。
インナーブランディングとは
「理念を浸透させる施策」のように身構えなくて大丈夫です。
ひとことで言えば、自分たちの「らしさ」を、みんなで言葉にしていく時間のこと。
何のためにこの仕事をしているのか。 どんな考え方を大切にして、毎日働いているのか。
そういう想いを、経営者と社員、社員同士でゆっくり話し合い、共通の言葉に育てていく。上から浸透させるのではなく、対話のなかで一人ひとりが「うちはこういう場所だ」と腑に落ちていく。それがインナーブランディングです。
なぜ、内側の話が採用につながるのか

内側で「らしさ」を大切にしている会社は、その空気が自然と外に滲み出します。理由は三つあります。
応募者は、会社の「素顔」を見ている
今の求職者は、条件だけで会社を選びません。サイトやSNS、そこで働く人の言葉を、思いのほかよく見ています。自分たちの言葉で「らしさ」を語れる会社は、それだけで安心される。繕った言葉ではなく、地に足のついた感覚こそが、いちばんの判断材料になるからです。
「こんなはずじゃなかった」が減る
入社後のすれ違いは、求人票のきれいな言葉と、現場の実際とのあいだに隙間があるときに起こります。飾らない実態を先に言葉にしておけば、それに頷いた人が来てくれる。結果として、長く働いてくれる人が増えていきます。
社員が、いちばんの語り手になる
会社のことを自分の言葉で話せる社員は、何よりの味方です。「うちはこういう会社で」と自然に語れるようになれば、お金をかけずとも、共感は外へ広がっていく。いちばんの採用担当者は、現場で働く社員たち自身なのです。
こんなサインが出ていたら、見直しの頃合い

会社のなかで、こんなことが起きていないでしょうか。
- 「うちってどんな会社?」と聞くと、人によって答えが違う。
- 立派な理念はあるのに、日常の会話には出てこない。
- 判断に迷ったとき、よりどころがなく、最後は個人の感覚任せになる。
- 新しく入った人が、独特の空気に戸惑っている。
ひとつでも心当たりがあれば、「自分たちが大切にしていること」を、もう一度みんなで話してみる頃合いかもしれません。
はじめに、大切にしたいこと
マニュアルや、かっこいいスローガンは、いったん横に置きます。まずは、ここから。
「らしさ」を言葉にする。 ぼんやりした良さを、みんなで話して、誰にでも分かる言葉にしていく。
会社を「ひとりの人」として考える。 うちが一人の人間だったら、どんな性格だろう。そう問うてみると、自分の会社に愛着がわいてきます。
迷ったときの、ものさしにする。 「うちならこうするよね」と言えるだけで、組織の動きはぐっと落ち着きます。
「らしさ」の芯にある、ミッション・ビジョン・バリュー
こうした対話を続けていくと、自分たちの言葉はやがて、ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)という形に結晶していきます。「らしさ」を言葉にする作業の、いちばん芯にある言葉。だから、MVVなしにインナーブランディングは成り立ちません。
その大切なMVVを定めるとき、ひとつだけ、気をつけたいことがあります。
よそから持ってきた立派なスローガンや、他社のうまくいった言葉を、そのまま当てはめてしまうこと。一見、手っ取り早く整って見えます。でも、自分たちが積み重ねてきた歴史や、現場が実際にぶつかってきた困りごとが映っていない言葉は、どれだけ美しくても、組織の奥には根を張りません。
MVVは、テンプレートの空欄を埋める作業ではありません。これまでの試行錯誤や、現場で交わされてきた何気ない会話のなかに、その会社だけの哲学はもう宿っています。それを掘り起こし、みんなの言葉として受け継いでいく。それがMVVをつくる、ということです。
経営が掲げた標語を上から配るのではなく、対話を通じて一人ひとりが「自分の判断のものさし」として腑に落とす。そのとき初めて、MVVはただ飾られた一文から、日々の仕事を導く道しるべへと変わります。
まとめ
採用は、求人広告の出し方だけで決まりません。いま人が惹かれるのは、その会社の「文化」や「らしさ」への共感です。
どうすれば人が採れるか、と外を見るその前に。 まず内側で、「私たちは、本当はどんな会社なんだろう」と、ゆっくり話してみる。
内で育てたものが、外で実を結ぶ。採用とは、案外そういう順番なのだと思います。
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最初の一歩を、一緒に見つけていけたらうれしいです。
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