目の前の売上を優先すべきか。それとも、時間をかけてでも共感を育てていくべきか。
これは事業を営む方なら、一度は悩むテーマかもしれません。
もちろん、企業理念や経営状況によって答えは変わります。しかし、時間をかけて共感を積み重ねていくことを、何よりも大切です。
その理由を、お伝えさせてください。
共感は、お金では手に入らない“宝物”
広告という手段を使えば、短期間で多くの人に商品やサービスを知ってもらうことができます。テレビCM、SNS広告、雑誌広告、交通広告…。現在はさまざまな媒体があり、どれも広告費をかければ一定の露出が保証されます。
魅力的なビジュアル、ユーモアのあるコピー、トレンドに合わせた演出など、短期的に売上を伸ばすための手法はたくさんあります。実際にそれで売上が伸びることもあります。
でも、それだけでは**“共感”は生まれません。**
共感というのは、「ただ知っている」ではなく、「心が動いた」という状態です。
そしてこの“心が動く”という感情は、広告だけで一方的に届けることはとても難しいのです。
日々の想いの積み重ねが、共感を生む
共感は、目立つ言葉や派手なビジュアルからではなく、日々の誠実な行動、考え方、そしてそれを言葉にして伝える努力から生まれてきます。
- 商品づくりに対するこだわり
- お客様とのエピソード
- スタッフの思いや日常
- 環境や社会に対する配慮
- 「なぜこの価格なのか?」という説明
こうした積み重ねが、お客様の心に少しずつ届き、いつしか「共感」となって根づいていきます。
SNSでの投稿、手書きのメッセージ、丁寧な接客、日々の発信…。一見地味に見える活動の中に、ブランドの“芯”が詰まっています。
「誰から買うか」が選ばれる時代
現代は、どこにいてもインターネットでほとんどの物が手に入る時代です。安価で高品質な製品が多く、似たようなスペックのものも数多く存在します。
だからこそ、お客様はこう考えるようになっています。
「同じような商品なら、共感できる人から買いたい」
- 「この作家さんの世界観が好き」
- 「この会社の想いに共感する」
- 「この店主の誠実な姿勢が好き」
- 「このブランドの価値観に共鳴した」
そんな“誰から買うか”という視点が、購買動機になっているのです。
共感を集めるには、時間がかかる
ここが一番大切かもしれません。
共感は、一夜にして得られるものではありません。
SNSで「バズる」ことはあっても、それが長く続くとは限らないのです。
共感は、コツコツとした発信と積み重ねの先にしか生まれないものです。
- 商品づくりに対する姿勢を丁寧に伝えること
- 誠実な仕事のプロセスを見せていくこと
- お客様とのやりとりを大切にすること
- 時には失敗や苦しみも正直に共有すること
それらのひとつひとつが、共感の「土壌」になっていきます。
まとめ
目先の売上は、広告やキャンペーンなどで手に入るかもしれません。
でも、「またここで買いたい」「この人のことを応援したい」と思ってもらえるかどうかは、日々の行動にかかっています。
そして、共感を得るための一番の近道は、近道をしないことだと思うのです。
じっくりと丁寧に、想いを込めて届けていくこと。
その先にある関係性は、数字では測れない宝物になるはずです。